サルタっていう町
バスはサルタに到着して、荷物を受け取った際に払ったチップで、完全にアルゼンチンペソはなくなった。
とりあえず、次のバスを予約しようにも先にアルゼンチンペソを手に入れようと、両替を探すも、ちっとも見つからない。
お店の人などに聞いてみても、みんなわからないという。
仕方ないので、ドル払いかカード払いができることを期待して、僕達は次の目的地、プエルト・イグアスまでのバスチケットを買うことにした。
しかし、カウンターのおっちゃんは、またしても英語が話せない人。
スペイン語でことごとく何かを聞いてくるし、必死に話しているしで、
英語なんて一切知らないとばかりに、スペイン語。全くぶれがなかった。
サヨがいくら英語でかけあおうが、おっちゃんも困り顔。
でも、そこに救世主が現れた。
後ろに並んだ若いカップル。最初は、僕達のせいで時間をかけてしまいソーリーと謝った。
彼女は、サヨに何か答えた。
そこで、英語が堪能らしいとわかったサヨが、彼女に助けを求めた。
その女の子は、率先して僕達を助けてくれた。
あいにく、プエルト・イグアスまでのバスはもう出てしまっていたけれど、
そこへ行くには、乗り換えが必要だったり、座席指定も必要で、おっちゃんが僕達に伝えようとしていたことを、彼女のおかげで、すべてクリアできた。
一度、おっちゃんにだめだと断られたドルでの支払いも、彼女が交渉してくれてOKになった。
おっちゃんも、いい人じゃんと思った。
嬉しくて、お礼をしなきゃとすぐに飴を取りだそうとしたんだけど、
パスポートをくれとおっちゃんに言われて、飴がかばんに落下した。
その飴ですら、その女の子は急いで拾ってくれて、なんていい子なんだろうと思った。
一時は、どうなることかと思ったけど、無事に切符も買えた。
その女の子にお礼を言った。
僕の人生で、こんなに感情を込めてサンキューと言ったのは、初めてだなと思った。
そして、僕が今までしてきたツアーと旅との違いを、つくづく思い知った。
だけど、こんな風に助けてもらって感動するのも、また旅なのかと思った。
思いもよらず、足止めとなった町で、ホテル探しなんてどうやってするのかと思ったけど、
サヨがちゃんと目星をつけてあった。
一応、移動するときは、こういう可能性も考えて、予約しなくても、安くて便利な場所にある宿の位置を、チェックしておくんだそうで、それが役に立った。
400ペソだったけど、広くて快適な部屋だった。
ただ、あてにしていた、カードでの支払いはできないらしく、やっぱり両替が必要。
ドアには、カードの支払いOKのシールが貼られていたのに、なぜかだめだと言われた。
でも、お金はいつでもいいと言ってくれたんで、荷物を置いて、町ブラへ出かける。
そして、まず僕達がしなくてはいけない両替で、とんだ苦労をすることとなった。
宿の人が教えてくれた場所には、両替所なんてなく、闇両替のカンビノおじさんしかいない。
正規ルートで安全に両替したいのだけど、どこで聞いても、カンビノおじさんを教えられる。
最終的に、優しそうなおばさんがポリスをつかまえてくれて、そのポリスが教えてくれたのも、カンビノおじさん。
しょうがないから、腹をくくって、そのおじさんに両替してもらう。
スマホで計算してみたレートよりも明らかに良すぎるレートで両替してくれた。
これが、闇両替ってやつかと思った。
サルタの町は、綺麗で都会。
でも、両替は、闇両替がメインなのか?
町が汚れ気味で、スラムっぽかったラパスの方が、よっぽど両替にはちゃんとしていた。
それから、ロープウエイがあるので、乗るために移動したけれど、もうおしまいだった。
7時くらいだったけど、締めるの早い。
すぐそばに夜市のような場所を見つけた。
ここで、おいしそうなホットドッグ屋台を見つけた。
具もソースも選べるみたいだったけど、サヨがどれもいいなぁと言っていたら、
店員の兄さんが、笑いながら全部乗せる?と言って、作ってくれた。
かなり、おいしかった。
アヒルのいる池のそばに座って食べた。
犬もやってきて、隣に座っていた。
そして、ちゃんと夜飯を食べようとしてレストランへ行った。
入ってみると、店の雰囲気は最高だった。
でも、注文したものが全然出て来ない。
飲み物ですら全く来ない。
疲れでイライラする。
やっと出てきたと思ったら、レモネードは酸っぱいし、鶏肉にも乗っているレモンが酸っぱすぎる。
途中で、僕はまたお腹が痛くなってきて、早く帰りたかったけど、またしても支払いに時間がかかりすぎ。
相当イライラしていた。
だけど、店員はサヨには気を使って、かなり話しかけていたし、サヨは喜んで食べていたので、
サヨには、申し訳ないことをした。
宿に戻って、すぐに謝った。
その日は、とにかく疲れ果てていて、調べごとをしている途中でそのまま寝てしまった。
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